女医三等分の法則とは?女医の3分の1が生涯独身というのは嘘!?

医者の生態

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女性医師ならきっと誰でも知っていると思いますが、女性医師の結婚事情については『女医三等分の法則』というものがあります。

女医は、全体の1/3が生涯独身、1/3が結婚していて、1/3が離婚している』というのが法則の内容です。

女医の結婚や離婚、独身率の話になると、まことしやかにこの『女医の1/3の法則』が引き合いに出されますが、そもそもこの法則って本当の事なのでしょうか!?

女医は本当に3人に1人は結婚せずに生涯独身で人生を終えるのでしょうか?

それともこれは単なる都市伝説なのか?

考えだすと気になって夜しか眠れないので、独自に検証してみました!

誠心(SEISHIN)

女医の1/3は生涯独身って本当?それともただの都市伝説!?

Dr.ゆず
ドクターゆず
こんにちは!サラリーマンと結婚したドクターゆずです。

早速、検証結果と考察を紹介させていただきます。

結論から言うと、半分間違いであるという結果になりました。

では、早速と検証結果について詳細をご紹介したいと思います。

裏付けデータベースの調査

調べてみると、『女医の1/3の法則』の情報は、総務省統計局が発表した『就業構造基本調査』という統計データベースが基になっているみたいです。

そこで、『就業構造基本調査』の結果を総務省統計局のホームページからダウンロードして読んでみました。

『就業構造基本調査』ってなんぞや!?

という方のためにご説明すると;

就業構造基本調査は、国が実施する調査のうち、統計法により特に重要なものとされる「基幹統計調査」として実施する調査です。

調査の結果は、国の基本的な方針決定の基礎資料として活用されるほか、地方公共団体における雇用対策などの各種施策に利用されます。
就業構造基本調査に関するQ&A(回答)

ということらしいです。

同じく総務省統計局が実施している『国勢調査』とは異なる調査ですが、どうやら日本国民の就業状態を調査して国策に反映させるための調査のようです。

2012年(平成24年)の就業構造基本調査の結果は、総務省統計局の公式ページから閲覧できます。

今回用いたデータは、『就業・不就業の状態に関する表 – 第25表 – 男女,職業,従業者規模,従業上の地位・雇用形態,配偶関係,年齢別有業者数』です。

2012年の就業構造基本調査によると、医師(歯科医師,獣医師を除く)の総人数は274,200人です。

当時の総人口が127,515千人なので、国民全体の0.215%で、人口1,000当たりに2.15人の医師がいる計算になります。

これは、多いのか少ないのか・・・?

厚生労働省が2015年に発表している「OECD加盟国の人口1,000人当たり臨床医数」の資料によると、OECD加重平均が2.8人であるのに対して、日本では2.3人だったようです。

Dr.ゆず
ドクターゆず
2012年から2015年にかけて改善はされているものの、依然として少ない水準ですね。

コレはコレで面白そうな統計情報なので分析してみたいところなのですが、話がそれそうなので『女医の1/3の法則』の検証に戻ります。

検証に用いた就業構造基本調査結果の資料には、職業ごとの「未婚者」の人数が記載されています。

この情報で「全体の1/3が生涯独身」が正しいのかを検証していきます。

就業構造基本調査結果から見る女医の未婚率とは!?

医師(歯科医師,獣医師を除く)の総人数は274,200人。この内未婚の人は37,700人で全体の13.7%が未婚でした。

出典: 平成24年 就業構造基本調査結果(総務省統計局)

気になる女医の未婚率は32.5%。まさに女医の1/3は「統計において」未婚状態であるとの結果が出ました。

ちなみに、働く女性全体の未婚率は28.9%ですので、未婚率だけを比べれば女医(32.5%)と平均的な女性(28.9%)には大きな差はないようです。

しかしこのデータは、調査が行われた「時点」での「未婚率」を表しているものなので、まだこの情報からでは「生涯未婚率」は分かりません。

生涯未婚率ってどうやって計算するの?

「生涯未婚率」という言葉からは、『死ぬまでに一度も結婚したことがない人の割合』というイメージが沸きます。

しかし調べてみると、「生涯未婚率」とは政府が統計資料で用いる用語で、きちんとした定義がありました。

日本政府が人口の統計において用いている用語であり、50歳になった時点で一度も結婚をしたことがない人間の割合を意味する言葉である。
Wikipedia

50歳で未婚だった場合には、その後も未婚である確率が限りなく高い、と決め込んでいるようですが、統計分析をする上ではそのように定義しているようです。

それでは、医師の年齢別の未婚率を見てみましょう。

就業構造基本調査結果では、5歳刻みでデータが集計されていて、男女年齢別にグラフにすると下記のようになります。

平成24年 就業構造基本調査結果(総務省統計局)

Dr.ゆず
ドクターゆず
「生涯未婚率は50歳時点で一度も結婚をしたことがない人の割合」ということなのですが、このデータでは50歳時点での情報が分かりません。

50歳時点で一度も結婚していない人をどの様に算出するのかを更に調べてみたところ、内閣府男女共同参画局が発表している「生涯未婚率の推移(男女別)」の統計資料の中に、その算出方法について記載がありました。

生涯未婚率は、50歳時の未婚率であり、45~49歳と50~54歳の未婚率の単純平均により算出する
生涯未婚率の推移(男女別) – 内閣府男女共同参画局

医師の男女別生涯未婚率の結果(2012年時点)

平成24年 就業構造基本調査結果 (総務省統計局)

内閣府男女共同参画局の定める算出方法で計算してみた結果、女医の生涯未婚率は19.3%になりました。

Dr.ゆず
ドクターゆず
つまり、女医の生涯未婚率は1/3ではなく、1/5であることが分かりました。

このようにして、「女医は1/3が生涯未婚」という女医の1/3の法則は真実ではないことが分かりましたが、都市伝説だった!と笑って一蹴するには依然として高い未婚率であると考えられます。

内閣府男女共同参画局が発表している女性の平均生涯未婚率は10.6%なので、女医の場合は2倍近い数値となっているのです。

出典: 生涯未婚率の推移(男女別) – 内閣府男女共同参画局

学歴別で見ると女性の場合は高学歴になるにつれて生涯未婚率が高くなる傾向にあるので、医学部卒という最高学歴を持つ女性医師の場合、特にその傾向が顕著に現れてしまうようです。

まとめ

確かに、女医全体の1/3は未婚であるという結果は出ました。

しかしながら、これは20歳前後の若い世代もカウントされているためであり、未婚率だけを見ると、働く女性全般の平均未婚率とほぼ同じ結果となっています。

一方で『生涯未婚率』については、就業構造基本調査によると、女医の生涯未婚率は19.3%で1/5が生涯未婚という結果になりました。

これまで『女医は1/3が生涯未婚』と語られることが多かったと思いますが、おそらく「未婚率」と「生涯未婚率」の言葉の使い方がごっちゃになっていたのだと思われます。

「1/3がなんたら」というフレーズは覚えやすいですし、女医の視点から見ても「もっともらしい内容」だということでも、この法則が信じられていたのでしょう。

ですが、今回の調査の結果により、「3分の1が生涯未婚」というフレーズは必ずしも正しくない、ということが分かりました。

統計集計時に「未婚」だからといって「生涯未婚」ということにはならないことは、ちょっと考えれば分かることです。

しかしながら、私も検証のために調査を行うまでは、両者の言葉の意味の違いをよく理解できていませんでした。

未婚率と生涯未婚率は同意語ではないので、言葉の使い方には注意が必要だな、ということを改めて認識することになった調査です。

補足:未婚者の定義

就業構造基本調査結果に記載がある「未婚者」の定義が、「一度も結婚したことがない人」なのか、「離婚や死別で現在結婚していない人」も含まれるのかが分からなかったので、総務省統計局に電話して問い合わせてみました。

総務省統計局の担当者のお話によりますと、「未婚者」は生涯一度も結婚したことがない人という定義だとのことです。

誠心(SEISHIN)

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